皆さんこんにちは。今回は8月15日の暑すぎる中、東京都国分寺市にある新幹線保存車「951形」の見学に行ったレポートです。こちらの前編では主に車体外側の構造を見ていきます。
後編はこちら
→http://sadahal-lidenskap.com/2020/08/29/2020-08-29/
36.1°Cでのお散歩
今回のテーマとなる新幹線保存車両は国分寺市にあります。しかし、立地自体は国立市との境界線に近く、国分寺駅よりも国立駅の方が近くなっています。
というわけで、国立駅から5分ほど歩くのですが…、まあ暑いんですわこれが。
当日の東京の気温は36.1°C。熱中症になってもおかしくはありません。水に帽子、日焼け止めをしっかり塗って出発しました。
数分歩いて見えてきた、目的の建物「ひかりプラザ」。この建物の敷地内に新幹線「951形」が保存されています。
建物の裏に回り込むと…
はい、見えました!新幹線「951形」です!
スポンサードリンク幻の新幹線951形
新幹線の車両の保存車両は日本各地に数多くあります。そして、東京都国分寺市にて保存されている新幹線車両もそのうちの一つです。
ぱっと見0系に見えますが、少し異なるグループの車両で“951形”と呼ばれる特別仕様の新幹線。
0系の次世代車両を作るために生まれた高速試験用の試作車両であり、1972年に当時世界最高速の時速286キロメートルを記録しています。
車体も通常の0系と異なるほか、鼻の長さも2mほど長くなっています。当時の先端技術を詰め込んだ、最新鋭の新幹線だったのです。
1980年の廃車時に鉄道総研の施設が国分寺市にあった関係で、同市に車両が寄贈。現在では資料館として市民に無料公開されています。
ちなみに鉄道総研はひかりプラザの目の前に立地しています。
独特の造形美
それでは、951形を外から眺めてみましょう。
こちらは真正面からとった写真。951形は通常の0系よりも2m鼻が長いので、正面から見ると運転席が見えずに鼻がドカンと突き出した構図になります。随分とシュールです。
また0系には取り付けられている排雪器もないので、全体的にのっぺりとした印象を受けます。
先頭部の側面には謎の板状のものが。これは一体なんでしょうか?何らかの測定機器でも取り付けていた跡でしょうか?
また建物を道路側から眺めると951形の全体像を眺めることが出来ます。こうしてみると長いお鼻をしているのがとても良く分かりますね。
また、鼻がせり出している分視界が狭くなるので、運転席もせり出す形に。現在のN700系やE5系などのように、鼻と運転席が一体化していないため、運転席の位置が高くなり、結果、視界の確保のため運転席もせり出す形になっているのですね。
その分のスペースが余っているため、そこに青い特徴的な塗装を施しています。これも951形の大きな特徴の一つ。
また、0系には多く設置されていた屋根上の通気口も数が少なくなっています。騒音対策のためだと思われます。
このせいか951形は全体的にすっきりとした印象を持っており、同年代の新幹線車両としては、とても滑らかな造形をしているように感じます。
パンタグラフ。このタイプは通常の0系とは異なるものなのでしょうか?
車体側面、951形は元が0系なだけに、側面の印象も0系とほぼ変わりません。鉄道関連の博物館で見る光景とあまり変わらないように思われます。
号車番号や行先案内板は車両から飛び出しているいわゆる“サボ式”。行先を変更する度に行先案内板を入れ替えます。初期タイプの0系に多く見られた様式です。
窓は大窓。こちらも初期0系タイプのものです。最新の新幹線の開発のための車両ながら、当時の0系の特色を色濃く残しています。
以上、951形の外観のレポートでした。951形はその大まかな造形は0系と似ていながらも、細かいところが異なり、当時としては異色の存在であったことが窺えます。
一方で当時の0系の色もしっかりと残しており、当時の国鉄がまだまだ0系の呪縛から脱することが出来なかったことも同時にうかがえる車両でした。実際に後に出てくる2つの試験車も0系が大元になっていますからね。
しかし、この951形での試験が上手くいった場合の東海道・山陽新幹線の景色も見てみたいものですね。当時の0系よりも鼻の長い、少し不思議な車両が走っていたのかもしれません。
次回は951形の車内に入ります。当時は試験室として、現在は資料館として使われているその車内。それはまさにタイムカプセルともいうべき空間でした。
それでは次の記事でお会いしましょう。