アニメ・パプリカの感想

 2006年に放映された映画「パプリカ」を見たのでその感想です。


パプリカ

あらすじ
 他人の夢に入り込み共有することの出来る機械、DCミニが盗まれた。DCミニを使い精神治療を行うサイコセラピスト・千葉敦子=パプリカはDCミニを悪用され干渉を受けている患者の夢に入り込む。そしてパプリカは夢の中で犯人を見つけ出し、その暴走を止めるべく奮闘する。

原作:筒井康隆
監督:今敏

感想
 とにかく、狂気。何が恐ろしいかってこのアニメ、何が現実で何が夢かがさっぱり分からなくなるんですよ。パプリカは夢と現実を行き来していくストーリーになっているのですが、その夢がいつ入ってくるか分からないのが怖い。ホント現実でのシーンから急に夢に入っていくので夢だと分かった時には「やられた」と思いました。

 特に一番恐ろしかったのは遊園地の柵だと思って乗り越えたらそれは夢で、実際にはマンションのベランダだったというシーン。覚醒中ですらDCミニの力で夢を見せられて危うく転落死するというところでした。
 しかもその遊園地の柵、もう一回出てきます。こちらは現実でしっかり地に足がつくのですが、その柵が再登場したときは怖かったですね。敦子、行くなと。ほかにもこんな身体から震えるようなシーンはいくらでもあります。

 また人をさらに混乱に陥れるのが、夢に侵された人々が放つ意味不明な言葉の数々。
 例として
「蛙たちの笛や太鼓にあわせて、回収中の不燃ごみが後から後から吹き出してくるさまは圧巻で、まるでコンピュータグラフィックスなんだそれが!総天然色の青春グラフィティーの一億総プチブルを私が許さないことぐらい、オセアニアじゃ常識なんだよ!さぁ!今こそ青空に向かって凱旋だ!絢爛たる紙ふぶきは鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒を司れ! 」
 と何言ってんのか分からないけど文脈的には間違ってないし、割と場面を絵にして想像できてしまう台詞。このセリフの塩梅はすごいです。
 普通の人間が同じように台詞を考えても、適当に言葉を並べてそれこそ「支離滅裂」な文章にしてしまうでしょう。しかし、パプリカの台詞には「支離滅裂」さはない。あくまで想像できる範囲で言葉を並べ、納得できる台詞にしてしまっています。人間の想像力ギリギリのところを攻めた台詞なんですよね。このセリフを考えた人は間違いなく天才だと思いました。

 そしてなんといっても見どころはその映像美。ここまで気持ち悪く美しい映画もないでしょう。だって上の台詞全部しっかり映像にして見せてきますからね。マジで蛙達が笛や太鼓を演奏し、絢爛たる紙吹雪が鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫が先鋒をきるパレードの映像を見せられますからね。マジモンの天才ですよ。

 ただストーリーは詰めが甘かったかなと。ただ、あの映像を見せるために削るべきところをとことん削ったんだろうなという印象でした。なぜそういう状況になっているかは掴めないけどストーリーはちゃんとしているので。
 そこまで不満ではなかったです。

 と言うわけで今回は映画・パプリカの感想でした。人生で一回は見ておく映画です。パレードの映像だけでも一見の価値ありです。

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