スターアイランドさんのexe.gameをやる-17 ~総評~

みなさんこんにちは、石川定治です。
前回お話した通り、今回で「スターアイランドさんのexe.gameをやる」は最終回となります。

この最終回ではスターアイランドさんが制作した一連の5つのゲーム「Children.exe」「Destiny.exe」「Nightmare.exe」「Beginnig.exe」「Memory.exe」の各ゲーム及び全ゲームの全体的な感想を述べさせていただきます。

exe.game実況者としてスターアイランドさんがexe.gameに対する最大のリスペクトを込めたこの「.exeシリーズ」。この作品をプレイして思った感想を自由に述べさせていただこうと思います。
駄文になりますがどうぞ最後までお付き合いください。

スターアイランドさんのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCcO6BOPrvZ72iFxptHxovzQ

Children.exe
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記念すべき第1作目ですが、正直に言ってしまうとゲームを作りたての人が作ったゲームだなと思いました。
どうしても作りこみが甘く、今のMemory.exeに比べれば演出の差は一目瞭然です。

逆に言えばそれほど今が凄いということなのですが、話が逸れてしまうので、その差についてのお話は今は止めておきましょう。
まあ、当時の中学生が作ったゲームなのでそこは突っ込んではいけないでしょう。むしろ出来過ぎているくらいです。

ゲーム自体はちゃんとしたノベルゲームとして楽しめました。初めての経験で試行錯誤しながらも、その時の一番の実力で一番いいものを作り上げた。そんな印象を受けました。

ストーリーそのものの内容の感想は「少年少女の不思議な体験」というそれ以上でもそれ以下でもない感じ。何ていうか、高校か大学で文芸部に入りたてのまあまあ実力のある人が書いた小説が一番しっくりくる比喩だと思います。
ですが、スターアイランドさんが中学生の頃に描いたプロットでしょうので、そう考えると年齢の割にうまいと思いました。もともとお話を考えるのが好きだったんでしょうか?

まさかこれが後の壮大な物語に繋がっていくとは思いもよりませんでしたが。

この時点でしゅうくんらの壮大な冒険奇譚を頭の中に描いていたと思うと、スターアイランドさんの才能がどれほどのものであったかが分かります。

またChildrenにはバッドエンドが3つありましたが、裏切られた期待エンドと叶わない理想エンドは物悲しいな、ああ、こいつら死んだな、程度の印象でしたが、エラーエンドは良かったですね。
そもそもChildren.exeはexe.gameをリスペクトして作ったもの。エラーエンドのような狂気がないと、exe.gameは名乗っちゃダメでしょう。

しかし、「裏切られた期待エンド」は後にMemory.exeで伏線として回収されるとは思ってもみませんでした。こういうところがあるので、いくらChildren.exeが1作目だとしても侮れないところがあるのです。
スターアイランドさんのゲームを本当にやるなら、Children.exeから絶対やっておくべき。そんな、スタアイさんのexe.gameを構成する大切なゲームの一つであることは間違いありません。

Destiny.exe
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Children.exeとはけた違いにゲーム性が向上した「Destiny.exe」。ここから本格的にやりごたえのあるゲームになっていきます。

はっきり言ってChildren.exeよりもずっと面白くゲームが出来ました。Children.exeはゲームというよりむしろストーリーでしたが、このDestiny.exeではミニゲームの面白さを重視し、そのゲームとストーリーを絡ませるのがだいぶうまくなった。そんな印象を受けます。
最も、この時点では本編において特にストーリー的に必要なさそうなゲーム要素もありましたが、それはそれ。ゲームの一要素として十分楽しめました。

一番良かったのはたかこちゃんの数学ゲーム。これは最高でした。問題自体は簡単なのにめちゃくちゃ焦らせてくる音楽をチョイスしてきて、「間違ったらどうしよう」と本気で思わせる緊張感あふれるゲームになっていました。

物語の内容としては悪魔という未知の存在が出て来て、いよいよ物語が動き出したというのが見ていて思ったことです。Destiny.exeを起動したばかりの頃はChildren.exeとどのような関係がある物語なのかがいまいち分からなかったものですが、雪子さんが出て来てついにChildren.exeとDestiny.exeが一連のお話として接続し、そこから.exeシリーズの外観が見えてきた。ゲームを終えたときにはそんな印象を受けました。

正直な話をすると、バッドエンドの方が面白かったです。正規ルートは「悪魔にさらわれた→ミッションをクリアした→悪魔と戦って倒した」という単純なものでしたので。「明らかにこっちが正解っぽいけどあえて間違って答えたらこのキャラクターはどうなってしまうのだろう?」とわくわくしてバッドエンドルートを選択したのを覚えています(もっともDestiny.exeを初めて見たのはスタアイさんの動画でしたので、ちょっと違うかもしれませんが)。

単純な話の上に「if」が加わったらどうなるのだろう。そういう物語の「多世界解釈」を楽しめる、そんなゲームだったと思います。

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Nightmare.exe
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そして3作目、Nightmare.exe。まめすけのドラゴンRPGしかり、物語の世界が大きく広がっていきます。

これはChildren.exe、Destiny.exeがあってこその展開の仕方でしょう。しかも、各キャラクターのすべてのミッションにおいて物語との関連性が確固たるものになり、「意味の無いゲーム要素」がほとんど消滅していたように思います。

やっぱり、物語的な意味を持たせたゲームは楽しいです。先ほどDestiny.exeの感想で「正規ルートよりバッドエンドの方が面白かった」という原因はまさにそれで、Destiny.exeではどうしても「このゲームをやらなきゃいけない」理由が弱かった。とりあえず玉5つ取らせなきゃいけないから5つ分ゲームを用意した、そんな印象だったのです。

しかしNightmare.exeでは一つ一つのミニゲームに「メモ(クリア要素)を取らせる意味」をしっかり添えたことは本当に素晴らしいことだったと思います。なぜしゅうくんは迷路をすみれちゃんと抜けなくてはいけなかったのか、なぜゆみちゃんはウツコ(ヒカル)の話を聞いてあげなくてはいけなかったのか、なぜたかこちゃんは数学ゲームを解かなくてはいけなかったのか、なぜまめすけくんはダイヤ島を冒険しなくてはいけなかったのか、なぜまさみは謎々や迷路を解かなくてはいけなかったのか。それがこれより後の話で明らかになっていくわけです。

Destiny.exeにおけるゆみちゃんミッションが「玉を取って骸骨から逃げ帰る」というだけで、正直に言ってゆみちゃんのミッションがそれでなくてはならない理由はなかったと思います。捕まって妊娠させられるなら話は違いますが、それはそれでたかこちゃんと被ってしまいますし。

そういう違和感を見事になくしてくれたのは、物語としてのゲームのレベルがすごく上がっていたことの証左でしょう。おそらくですが、本格的なゲームとして楽しめるのはこのNightmare.exeからです。

またRPGが加わったのも一つの大きなポイントです。ゲームとしてやりごたえがあり、レベル上げやアイテムの購入、戦術の構築など、それなりに頭を使いやりこまないとクリアできないような仕様にしたのは、かなりの好ポイントです。
実際ゲーム会社に入ってもやっていけるんじゃないかとも思うようなゲーム性の良さがありました。

ただしRPG要素はNightmare.exe全体としては他のミニゲームと比べてすごく長いと思ってしまいました。ゲームとしてアンバランスだなと。砂漠の町に全回復できる施設とアイテム購入場所がないことが原因だと思います。

サクサク進むミニゲームの中に「妙に長いRPG」が挟まれるのはやっていて「?」な気持ちが入ってしまいました。
ですが、これはMemory.exeで改善されていますし、結果的に良くなっていると思います。

ちょっと引っかかるところはありましたが、RPG編もすごく面白かったです。ドラゴンや魔法という要素が出て来て、いよいよ悪魔に太刀打ちできる能力を身に着けてくるのですから。こんなに面白いことはありません。Destiny.exe、Memory.exeと関わりのある場面が多くあり、いよいよ全貌が見えてきた。そんな印象でした。

本格的にゲームとして楽しめるようになった。それがNightmare.exeでした。

Beginnig.exe
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Beginning.exeは番外編で内容もほとんどがおまけなので特に言うことはありません。

ただ、最初のしゅうくんたちが車に追突してしまうくだりは次のMemory.exeではなくこのBeginning.exeに入れて正解だったと思います。
どうしてかと言うと、話の筋としては必要だけど本編に組み込むとなんだかだらけてしまうような内容だからなんですよね、これ。正直文章でもいいけどせっかくならゲームとして動いた状態で見たい。そんな内容の話なんです。

このくだりがMemory.exeにあっても文句は言わなかったと思います。ですが、車が突っ込む場面を省くことでMemory.exeではスムーズにゲームに入っていけてますし、なにより話の始め方としてすごくビシッとしています。
ある意味同人ゲームだからこそ出来るやり方なのかもしれませんね。

おまけも良かったですね。しゅう君達の普段の日常を覗けて非常に楽しかったです。中には次回作Memory.exeにおいてカギとなる言葉も入り、またキャラクター達の意外な一面も見ることが出来て、スターアイランドさんのオリジナルキャラクターがもっと好きになる。そんな内容のおまけでした。

Memory.exe
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そして集大成となるMemory.exe。

結構これまで各ゲームの評価には辛口なところもあったとは思うのですが、納得のいく物語を作るというのは年月をかけてじっくりと訓練してようやく出来るというものです。これは私も趣味で小説を書いていたことがあったためにすでに知っていること。ましてやスターアイランドさんはゲームでやっているのですからイラスト作成やプログラム構築もご自身でやらなくてはいけないでしょうし、小説に比べれば何倍もの負担がかかるに違いありません。

その分完成度を高めるには凄まじい時間と気力も必要でしょうが、まさにそれを証明するかのようにMemory.exeはスターアイランドさんのexe.gameの集大成にして頂点の形を見せてくれました。

無駄が全くなくなったんですよ。Nightmare.exeの時に記述したRPGの面倒臭さはRPG戦闘をボス戦に限定することで除去し、さらに戦闘において「レベルを上げて物理で叩く」を成立させないことで頭を使うゲームにしてしていたのは本当に上手だと思いました。
実はNightmare.exeよりもプレイ時間は短いです。ただ、内容は2倍も3倍も濃い。これはひとえにRPGの戦闘が3・4回までに抑えられたから。
もとはと言えばRPGやるためにNightmare.exeをしたわけではなかったですから、Memory.exeではこのRPG要素を大胆に削って、その代わりにRPGの戦闘部分だけを抽出して残したのは見事というほかありません。
これによって、Nightmare.exeにおいて失われていたゲームのテンポの良さが戻っていました。

物語も不自然に思っていたところを綺麗に伏線として回収したのですから本当に見事というほかないでしょう。
何よりもまず、影楓によってMemory.exeの物語が2450年の未来であったこと、魔法というものが科学的に証明された世界での物語であると示されたときには、しばらく開いた口が塞がりませんでした。
本当に個人的にはあの「2450年」の数字は5つのゲーム中において最大にして最高のハイライトでした。何てことをしてくれたんだスターアイランドさんは、と思ってしまいました。
「魔法が存在する未来世界」と仮定すれば物語の設定の全てが辻褄が合います。また意図してそうしたのかは分かりませんが、しゅうくんたちのいる世界をほのかにディストピア風にすることで、.exeシリーズにおける世界について多くの考察をそそらされました。そんな想像が無限に膨らむ素晴らしい物語でした。

ゲームの内容も一切無駄がなくテンポよく進めることが出来るため、プレイしている人を飽きさせないうえ、ゲームとしても物語としても良く出来ている。それがスターアイランドさんの最高傑作「Memory.exe」でした。

ゲーム全体の評価
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それでは5つのゲームをやってきた感想を。

はっきり言って文句ありません。物語として非常によく出来ていますし、ゲームという特性を活かした物語の書き方はゲームを普段やっていない身からするととても新鮮でした。

もちろん、Children.exeを制作されたときにはスターアイランドさんはまだ初心者でしたので、この時はまだ力不足の作品ではありました。ですが、作数を経るごとにゲームの面白さや操作性、演出技術の向上が見られ、スターアイランドさんの熱の入れようが目に見える形で見えてくるのが非常に心強く感じられました。ある意味、この技術向上の様子を見るのも楽しみ方の一つです。実際顔グラフィックの変化は見ていて面白いものがあります。

楽しそうな、でも本当はものすごく怖い、そんな状況でも臆せずに立ち向かっていくしゅうくんたちの姿に勇気付けられました。彼らだからこそできた平和を守るための物語。それが一連の.exeシリーズをプレイして思ったことです。

以上で「スターアイランドさんのexe.gameをやる」シリーズは終了となります。もっともMemory.exeはアップデートが予定されているのでその時は改めて紹介いたしますが、いったんここで締めさせていただきます。
私としても面白いゲームを紹介出来た、17回の連載を経て、自分なりのスターアイランドさんのexe.gameの世界観を構築し、また新しい楽しみ方をすることが出来るようになったと思います。

最後になりましたが、記事作成にあたりゲーム画像の使用を快諾してくださった製作者のスターアイランドさんに感謝を申し上げます。また読者の皆様、今まで当連載をお読みいただき本当にありがとうございました。

石川定治

※.exeシリーズのダウンロードページ

Children.exe
https://ux.getuploader.com/Children_exe/

Destiny.exe
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_4571.html

Nightmare.exe
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_5279.html

Beginnig.exe
https://freegame-mugen.jp/puzzle/game_5884.html

Memory.exe
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_7751.html(通常版)
https://elog.tokyo/adventure/game_531.html(R-18版)

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