お久しぶりです。3月から5月初め頃まで連載企画として「スターアイランドさんのexe.gameをやる」の記事を書いてきましたが、この度スタアイさんが新作exe.game「cute kirby.exe」の公開をされたので今回はそのプレイの様子と感想を書かせていただこうと思います。
それではexeファイルをクリックしてゲームスタートです。
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星のカービィの正統派exe.game
スタアイさんのこれまでのexe.gameシリーズはどちらかと言えば正統派exe.gameというよりもそれらを土台にして作り上げたホラーゲームの色合いが強いゲームでした。より露骨に言えば同人ノベルゲームであり、既存のexe.gameをリスペクトした演出は多くあれど、exe.gameの一員として加えるには少し難のあるシリーズでした。
しかしこれはカービィを題材にしたexe.gameでありスプラッター表現も出てきます。本家のイメージをつぶすほどの悪意ある二次創作はexe.gameの神髄です。
軽いストーリーこそあれど悪意ある演出を多く取り入れており、また本格的に遊べるようなゲームにはなっていません（けなしているようですが、exe.gameはそもそもまともに遊ばせないがモットーです）。
さすがに操作性は維持していますが正統派のexe.gameとして遊べる内容になっています。
まさに数多くのexe.gameをプレイしてきたスタアイさんならではのゲームになっているのです。
実際に遊んでみた
それでは遊んでいきましょう。
目の前にいるカービィと一緒に遊び好感度を上げていくのがこのゲームの主題になります。完全に任天堂法務部に喧嘩売りに行ってますね。
今回は「食べる」を選択してみます。何かカービィを食べちゃいそうで不穏だから。
しかし「食べる」はカービィが何かを食べるということであり、プレイヤーがカービィを食べるわけではないようです。
もちろん無限の胃袋を持つカービィは喜びます。この調子でどんどんマキシムトマトをあげていきましょう。
さすがカービィ、沢山与えれば与えるほど喜んでくれるなぁ。
しかし、途中からカービィはトマトを拒否するようになります。おかしいですね、カービィはどれだけ食べても空腹感が満たされない六道でいう「餓鬼」みたいな存在ですよ。
この辺りからバックに流れている音楽も1オクターブほど音程が下がります。不穏な空気になってきました。
「そんなバカな」。普通のゲームとは違う態度を取るカービィに主人公は少しずつ焦り始めます。
ついに怖がり始めたカービィ。主人公のイライラのピークに達します。そしてついに。
選択肢が「可愛がる」一つに。ここでエンターキーを押すと。
何かを殴打する音が聞こえ次の場面では頭から赤い液体を流すカービィの姿が。きっとマキシムトマトが頭に直撃して潰れただけの話のでしょう。
でもカービィだったら殴られたら反撃しそうなものですよね。それをせずに黙って座っているとか一体どういうつもりなのでしょう。
そんなカービィをよそに悲しんでいる姿を楽しむ主人公。徐々にその本性が露わになってきました。
さらに大量のマキシムトマトをカービィに与える主人公。そうだもっと食え！「まんじゅうこわい」理論なんか通用しないからな！泣いたって無駄だぞ！お兄ちゃんにはすべてお見通しだ！
にしても与え方雑。
しかし、無理やり食べさせても苦しそうな態度を取ります。
だめだ、こいつはカービィじゃない。俺の知っているカービィは惑星上のあらゆる動植物を食い尽くして星を滅亡させた存在だって「デデデでプププな物語」で知ったぞ。
ついに俺の嫁発言が飛び出しました。え、この子女の子だったの？
そしてとどめの「可愛がる」。これを押すとカービィは一体どうなってしまうのでしょうか。
…そこには傷を増やし頭と口から赤い液体を流すカービィの姿が。き…きっとマキシムトマトの食べ過ぎでトマトが体中から噴き出しているんだよ（震え声）。
すでにカービィは目を閉じ動きません。いやいや、まさかね。
ていうか音楽がもう寒気がするようなものになってきた。
そこでも選ばされる選択肢。ここでも「食べる」を選んでおきましょう。
しかし、マキシムトマトを与えても何の反応もありません。これ完全に死んでますね。
そして主人公は何故か自分の息子に対する愛のメッセージを送ります。
最後に目に光の無い非常に不気味な姿で主人公を見つめ、何かを訴えかけるように目からどす黒い血の涙を流してゲームは終了となります。
ゲーム終了後、後日譚としてテレビのテロップが流れます。
それは「虐待によって男の子が殺され、犯人の父親は息子をカービィのように可愛がっていた結果死なせてしまった」という星のカービィへのアツい風評被害を与えるような内容。
一見すると犯行理由が支離滅裂ですが、虐待事件の犯人は大体「愛しているから叩いた」などというものです。
こうして息子をカービィとみなして虐待を加えていたと考えると少し面白い考察が出来ますね。そもそもカービィは星の戦士と呼ばれるほど強い存在。叩いたりなどしたらぼっこぼこにやり返されるのがオチ。
しかし、父親が虐待していたカービィは弱者たる子どもであり当然反撃は出来ません。そうすると強者であるはずのカービィを暴力で支配することができます。
カービィを腕力で支配することで自分はとても強い存在であると父親は示すことができるのです。まあ、本当は息子を叩いているので第三者から見れば姑息な支配欲を満たしていたことには変わりはないのですが。
最後に製作者さんからの強いメッセージが出てウィンドウは強制終了になります。
ゲームを終わらせると「Save」という新規データファイルが勝手に追加されます。これを消去しておかないと「Cute Kirby.exe」を押しても上のメッセージが再び流れてウィンドウズがすぐに閉じるだけでゲームを再開できません。もう一度遊びたい場合は必ず消去しておきましょう。
にしても知らないうちにデータがファイルに出現するのもまさにexe.game。本格派exe.gameはこれが初めてですが、しっかりとexe.gameの雰囲気を味わうことができました。
最初見た時はびっくりしましたよ。exe.game実況者って毎回こんな体験をしているんですか(;・∀・)
ちなみにですが、「可愛がる」「食べる」「話す」をいつどのタイミングで、どの順番に押してもエンディングは同じになるみたいです。選択肢によってその時々の反応は異なるので色々試してみましょう。息子さんには悪いですが。
というわけでスターアイランドさんの二次創作exe.game「cute kirby.exe」のご紹介でした。
改めて感想を述べさせていただくと、こんなに気軽にexe.gameを楽しめるとは思っていなかったです。スタアイさんを始めshotaさんやLatticeさんなどのexe,game実況動画は時折見させていただくのですが、exe.gameそのものをやるのは気が引けるというものです（そもそもどこからダウンロードするの？）。
ですがこれは長年exe.gameをプレイしその詳細について知り尽くした実況者さんが作ったゲーム。二次スプラッターという基本を押さえながらも強いメッセージ性をゲームで表現しており、スタアイさんのこのゲームにかけた思いを感じ取ることが出来ました。新規に謎のファイルが生成されるのも良い！
クマのぬいぐるみ等ではなく広く世間に知られているカービィを題材にしたのもいいですね。すんなりexe.game特有の異常性を醸し出すことが出来ています。その代わり任天堂法務部に目を付けられそうな内容になっていますが。
ただ少し気になったのがエンディングの少なさです。1種類しかないのは拍子抜けしてしまいました。スタアイさんのexeシリーズはマルチエンディングが魅力の一つだったのでせっかくだったら何かルート分岐があれば嬉しいのにと思ってしまいました。
せいぜい欠点として言えるのはこれくらいですかね。
何はともあれ製作者のスターアイランドさん、面白いゲームをありがとうございました。
今現在は新作ゲームとなる「空想兄弟」を製作中だそうです。来年の7月リリースだそうですが、期待が高まります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。それではまたexe.game紹介でお会いしましょう。
cute kirby.exeダウンロードページ（日本語版・英語版）
https://gamejolt.com/games/cute_kirby/435427