2013年11月10日・等々力での東急デヤ7200展示イベントの記録

 皆さんこんにちは。10月ももう1/3を過ぎました。すっかり涼しくなってしまい、半袖では寒いくらいになっています。

 さて、最近は自分が昔撮影した鉄道写真のデータを整理しているのですが、中々面白い写真が沢山出てきました。

 せっかくですので個人情報が分からない範囲で公開していければいいなと思っています。今となってはとても貴重な写真も多いです。

 というわけで今回は、等々力にて展示された東急の事業用車・デヤ7200についてのお話です。

そもそもデヤ7200とは?

 デヤ7200は東急の線路にて活躍していた線路設備の検査用の事業用車の内の一両。デヤ7290やサヤ7590と3両ユニットを組み、東急線の軌道・架線検測の他、車両基地などへの車両の搬入時の動力車として活躍していました。

 2012年にサヤ7590を除き引退し、現在はTOQ iこと7500系にその役割を譲りました。そして引退したデヤ7200は解体されることになったのですが、その前に等々力のイベントで展示されることになったのです。

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道路用台車を履いた派手車

 こちらが等々力のイベントにて展示されたデヤ7200。派手派手しい黄色と水色、その間に挟んである赤色の帯が目立ちます。その東急の営業車と異なる色合いの車両であることから「派手車」とのあだ名もあったそうです。確かに東急の駅で電車を待っていてこれが来たら驚いてしまいますね。

 この2013年11月のイベントは、東急線の沿線で開催されたもの。この写真にもあるようにバスや軌陸車などの展示もされていました。

 とすると駅構内や車両基地で行われたイベントではありません。競技場脇の広場で開催されたイベントです。そのため、鉄輪台車を履いた状態では会場まで来ることが出来ません。

 そこでデヤ7200は運ばれる時に道路用の台車を履いて会場まで来ました。そのため、絵的には少し面白い状態に。陸上輸送用の台車を履いている電車を見れるのもこれまた珍しいですね。

 少し遠めのところから眺めた様子。これがデヤ7200が最後に人の目に触れる場所とあって駆け付けた鉄道ファンもものすごい数に。今記事を書いている2020年から見ると羨ましいくらいの「密」です。あんまり覚えてないけど、熱気はすごかったんだろうな。

 デヤ7200の反対側の先頭部。デヤ7200は元は片方の先頭部にのみ運転台があった普通の通勤電車でした。こどもの国線で活躍していたそうです。しかし、事業用車に改造される時に柔軟な連解結に対応するために中間車側にも運転台が追加設置。

 結果としてこのようなのっぺりとした外観に。東急版食パン電車と言えばいいのですかね(笑)。おそらく滅多に出さなかったであろう顔だけに、これはまた貴重な写真かもしれません。

デヤ7200のデティールを見る

 展示車両として最後の祭りに臨むデヤ7200。幸いにも車両の細かいところまで撮影していたので、どんどん公開していきましょう。

このデヤ7200で大人気だったのが幕回し。実は中に入って幕回しが出来たので、先頭部の幕がしょっちゅう動いていました。前述したとおりデヤ7200は元は通勤電車。事業用車時代も方向幕は“回送”や“試運転”をそのまま使っていれば良かったため、こうして当時の行先表示が残されていたのですね。

 この時は「二子多摩川園」の文字が出ています。「二子多摩川園」とは現在の二子玉川駅のこと。2000年に“園”が外れ“二子玉川”になったのですがデヤ7200ではそのまま残されていたようです。これも結構貴重な写真になりそうです。

 地面から電車を見るので床下機器も良く見えます。そばに見える発電機のようなものは何でしょうか?搬送用タイヤの充電器でしょうか?

 屋根上のパンタグラフ。前後二つ付いています。

 中間車側の改造先頭車には、サボで「試運転」の表記が。こちらは運転台に改造されてから営業運転に就くこともなかったですし、簡単にサボで済ませちゃえ、ということなのでしょう。

 また中間車側先頭車に特徴的だったのが、形式や製造元、所属先を表す銘板が張り付けられていたこと。

 この先頭側は普段は他の車両との連結で隠れてしまうために、このような銘板があってもさほど問題はなかったのでしょう。こんな一面も見られるのもまた面白いところです。

 ちなみに、ダイヤカット側の先頭部にはイベントを記念するヘッドマークが。のるるんが器用にサッカーボールの上に乗っているのが印象的ですね。

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デヤ7200の車内に潜入!

 じつはこの時展示されたデヤ7200、車内が公開されており、順番で中に入ることが出来ました。車内の写真も残されていたので順に見ていきましょう。

 事業用車、といえどもデヤ7200は主に架線検測車7290やサヤ7590、その他営業車両を牽引するための動力車の役割が主だった車両。車内には椅子がこどもの国線時代そのままで残されています。

 ですが、座席下の暖房機器やドア開閉器の蓋が開けられていて、中身が見えるようになっていた写真もチラホラ。電車の展示とだけあって、このような中身も見せる方針にしていたのでしょう。

 運転台の様子。おそらくこれは食パンの方の運転台でしょう。全面のサボが“回送”or“試運転”で裏返して表示されるようになっており、まさに事業用車の様相を醸し出したいます。

 回送サボ下の注意書き。デヤ7200は基地内で検査をする車両の牽引をしていた車両でもあるので、連結相手がコロコロ変わっていました。それに関する注意書きですね。「7915Fと1000系は除く」ってなんだろう…。貫通ドアの有無かな?

 運転台近くにあった物々しい装置。“8000系”と書いてありますが、何らかの連結に使う装置でしょうか。

 一気に行きます。こちらは“保安”や“供給”などと書かれた空気タンク。おそらくは他の車両と連結するときにこの空気弁を介してブレーキの連動を測っていたのでしょう。4枚目の写真の“7700”や“9000”の文字からもそれが読み取れます。

 あと、4枚目の写真の“マヤ”と“7700”の後ろにお城のイラストが描かれていますね。こどもの国線時代のものがそのまま残さていたのでしょう。

 こんな注意書きも。先ほどの空気弁がそれぞれどの車両に対応するのかを示す表ですね。それにしても“JRマヤ”とは?

 一応“マヤ”はJRの軌道検測車だということは知っているのですが、まさかJRのマヤとデヤ7200が連結して一緒に走っていたのでしょうか。もし本当に走っていたらそれは見てみたいものです。

軌陸車、バスなどの展示

 さて、このイベントではデヤ7200が主役でしたが、当日は他にも珍しい車が沢山広場に来ていました。

 例えばこれは軌陸車。見た目は普通のトラックですが、通常のタイヤに加えて、収納可能な鉄輪を装備。線路の上を走ることが出来ます。

 このタイヤの後ろについているのが軌道用鉄輪。軌道走行モードではこの車輪を下ろして線路の上を走ります。

 なんと軌陸車の中にも入ることが出来たらしく、こんな写真が残されていました。軌道走行時はこの小さな箱で線路での加減速をするみたいです。しかし、見た目がチープなのが面白い。反対にこれで線路の上を動かせるというのも面白いですね。

デヤ7200の隣には東急バスの特別塗装車が。これは東急系列の川崎フロンターレとイッツコムのコラボ塗装バスですね。青い車体も目立ちますが、その中に溶け込む“ITSCOM”の文字が中々狂気。思いっきり広告してますね。

 謎の車。法律的には“ミニカー”と呼ばれる車種でしょうか。SF小説に出てきそうな車ですね。ベンチャー企業が製作したのでしょうか。

 謎の軌道走行車。一体何をするための車両なのでしょう?今では分かりません。単純に移動するだけの車両なのかもしれません。

 歴代のバスの押しボタンの展示も。他の写真を見てみると自由にポチポチ出来たみたいです。

 以上、デヤ7200イベント展示の記録でした!

 この展示があった前年の2012年に引退したデヤ7200。目立つ塗装ながらも人知れず東急の線路や車両の安全を守り支え続けた車両です。このイベントの後、解体されてしまったようですが、こうしてイベントで花道を添えて貰えたことはデヤ7200にとって幸せなことだったのではないでしょうか。

 それでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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