2020年9月9日・ザ・ヒロサワ・シティ探訪録

 皆さん、9月の日々をいかがお過ごしでしょうか、石川定治です。

 だいぶ涼しくなったように感じますが、その代わりに気温の変化も激しくなってきました。予想以上に冷える日が続きます。皆様もどうかお体にご自愛ください。

 さて、今回は用事で付近まで来ていたこともあり、茨城県のある変わった施設に行くことが出来ました。

 それが「ザ・ヒロサワ・シティ」。複合型のテーマパークで、ゴルフ場を中心にモーター系のオフロードコース、その他美術館などがところ狭しと並んでいます。

 その中には“レールパーク”と呼ばれるエリアがあり、歴史的に見ても価値のある鉄道車両が展示されているエリアがあります。今回はそのザ・ヒロサワ・シティのレールパークに来てみたお話です。

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E2系が鎮座する車両展示場

 ヒロサワシティは茨城県筑西市にある施設。特にバスなどはないので自家用車で施設に向かいます。ほんとに山の中。

 写真の中央案内所から入ってしばらく歩くと目的のものが見えてきます。

 はい!こちらがE2系やD51を始めとする展示車両達です!青空の下、誇らしげに鎮座しています。

 このヒロサワシティのレールパークには上の写真の3両をはじめ、計11両の車両が保存・展示されており、一般人でも無料で公開されているのです。乗り物好きには結構有名な施設なのだとか。
 各方面から車両を購入もしくは譲り受け、このように据え置いているのだそうです。

 それでは各車両の展示内容についてみていきましょう。

 まず何よりも目立つ存在がこのE2系新幹線。レールパークの中でもとりわけ大きい車体を持っているだけに、抜群の存在感を誇ります。

 このE2系は元は「J14編成」と呼ばれる編成の10号車だったもの。本来であれば廃車で解体されるところをヒロサワシティが購入。茨城の地で余生を過ごすことになりました。このレールパークでは一番新しく展示された車両でもあります。

 屋外展示でありながら、かなり状態が良く、きれいに保たれていることが分かります。しっかりと保存されているのが良く分かります。

 しかし、E2系は私にとってはまだまだ現役(実際に後期型は現在も元気に走ってる)だけに、こうして展示されてるのは変な気持ちですね。時代の流れというものでしょうか?

 E2系の隣に腰を据えているのはD51蒸気機関車。蒸気機関車の王様です。

 車番を見てみると、このD51は1116号機であることが分かります。1000番台を超えているということは、D51の生産が終了するかしないかの時期でしょう。

 この1116号機は東北や北海道の地で活躍したのち、千葉県の個人宅に引き取られ、最終的に2018年にヒロサワ・シティにやってきました。

 間近でD51の姿を堪能しましたが、やはり美しい機関車ですね。E2系に負けない存在感を発揮しています。

 E2系、D51と共にレールパークの象徴となっているのがEF81号機。かつての名ブルートレイン「北斗星」のヘッドマークを誇らしげに掲げています。

 このEF81 138号機は主に「あけぼの」という往年のブルートレインを牽引していた由緒ある機関車。東京ー青森間を結んでいました。

 また現在展示されているように、北斗星としての運用にも臨時で入った実績があるんだとか。

知られざる名車たち

 このメインの3両の後ろにも日本の鉄道の歴史を彩る数々の名車が飾られています。

 こちらの橙色の車両はキハ101という車両。車両のドアが外側に飛び出している独特の風貌が特徴的です。

 その後ろにはクリーム色と藍色のツートンカラーが特徴的なキハ102が展示されています。車体構造としてはキハ101と同じらしく、こちらも車体外側にドアが飛び出しているのが印象的です。

 このキハ101、キハ102は元々は「キハ30」という気動車で国鉄が使用していたもの。民営化後にJR九州の所属となり、関東鉄道という茨城県の鉄道会社に中古として買い取られることに、そこでキハ101、102と名前を変えて活躍を続けていました。

 最近でも塗装の塗りなおしがされており、かなり良い状態で保存されています。

 しかし、どうにも車内に何らかの資材が置かれているのが気になる…。確かに倉庫としては便利な空間だと思いますが…。

 キハ102の後ろには、流線形が特徴的な特急風の気動車が飾られています。もともとは大洗駅を中心に路線網を持つ「鹿島臨海鉄道」という茨城県の鉄道会社が所有していた快速用ディーゼルカー。7000形というらしいです。

 主に観光客向けの快速列車して充当され、リクライニングシートの他、テレビやトイレまで設置されたかなりの当時の鹿島臨海鉄道にしてはハイグレードな車両だったとか。実は東海村原発の建設の見返りとして作られたという、少し闇な側面もあるそうな。

 中々知られていない列車なので、とても興味深い存在です。棚ぼた的に作られたとはいえ、地方鉄道がかなり期待をかけて作った、ということが良く分かります。

 しかし、なんで中にゲームのアーケードが置かれているのでしょうか?キハ101や102といい、どうにも倉庫感があふれ出てるなぁ…。

 少し場所を移動してEF81の後ろを覗いてみると、ブルートレインの客車が勢ぞろい。EF81が掲げているヘッドマークと同じ「北斗星」に使われていた車両です。
 しかもそれが4両もどうやって。すごい収集力です。

 私も乗ったことがあるブルートレインなので、見ていて懐かしくなりました。食堂車やロビー、B寝台が懐かしい!個室は乗ったことないなぁ。

 こちらは特に物置として使われることなく、きれいな状態で車内が残されていました。いやー、車内も公開されないかなこれ。かなり貴重な資料だと思いますよ。

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組立が続くYS 11

 このヒロサワ・シティにはもう一つ目玉となる展示物が存在しています。

 それが日本初の純国産旅客機「YS 11」です。もともとは運輸省(現国土交通省)が購入した栄えある量産第一号機で、引退後は動態保存機として羽田空港に保管されていました。やろうと思えばいつでも飛行できたそうです。

 ただ、年間900万円という維持費は馬鹿にならなかったのか、管理していた国立科学博物館は動態保存を断念。以降は飛べないものの、公開展示物としてこのヒロサワ・シティに腰を落ち着かせることに。

 私が訪問した当時はまだ組み立て中で、このようにエンジンはむき出し、水平尾翼や尾翼がない状態でした。

 それでも本物の航空機が鎮座している図はかなり壮観なもので、タイヤを通して宙に浮かんでいるだけに、鉄道車両とはまた異なる迫力があります。

 この記事を書いている段階では水平尾翼まで設置された状態とのこと。あとは水平尾翼を取り付けて完成とのこと。

 もし完成したら是非ともその雄姿を見てみたいものです。

クラシックカー・美術館もある

 そんな楽しいとこ満載のヒロサワ・シティですが、他にもクラシックカーの展示の他、敷地内には美術館まであります。

 なんでも今年(2020年)に出来たばかりの新館はあの隈研吾氏による設計。私が訪問した当時は隈研吾氏に関する個展が行われていました。新館は主に期間展を行うようです。

 作り込まれた日本庭園も魅力。

 一方の常設展は「芸術の森 分館」と呼ばれる施設が担当。こちらでは地元の方の作品や、茨城の有名芸術家の作品が数多く展示されています。

 以上、「ザ・ヒロサワ・シティ」の訪問録でした。かなり広大な施設で本当に荷所たっぷりでしたが、この記事で取り上げた施設はなんと全て入場無料(ちなみに収益は主に隣接するゴルフ場などから取っているみたいです)。

 人里から離れた場所にあるためどうしても自家用車もしくはタクシーで行く必要がありますが、それでも十分行く価値はあると思います。

 何よりも都市圏の鉄道博物館では見られないマニアックだけど貴重な車両達。そしてYS-11。茨城県筑西市やその付近にお越しの際は是非とも立ち寄ってみてください!

 それでは今回も記事をお読みいただきありがとうございました!

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