2020年10月3日・上野駅現美新幹線見学録

 皆さんこんにちは。もう10月に突入しましたね。かなり涼しくなってきて、半袖が欠かせなくなってきました。

 さて、世の中にはジョイフルトレインというものが多数存在していますが、例えば上越新幹線には「現美新幹線」という観光列車が運行されています。

 今回はその現美新幹線が上野まで来る、ということで上野駅まで出向き、現美新幹線に会いに行ったお話です。

珍しい現美新幹線の上京

 まず初めに現美新幹線とは何か、という解説から。

 現美新幹線とはJR東日本が運行しているジョイフルトレインの一つ。秋田新幹線引退後のE3系(R19編成)を改造し、現代美術家たちが制作した美術作品を展示する美術館列車になりました。

 もちろん車両はE3系なので、最高速度は275km/h。上越新幹線内は240km/h制限がかかっているため、実際はもう少し遅くなりますが、それでも世界一速い速度で移動する美術館として、JR東日本が積極的に売り出しています。…そもそも「移動する美術館」ってなんだ?

 で、この現美新幹線、運行区間が基本的に越後湯沢~新潟に限られているので、東京圏に住む人間にとっては遭遇することが中々できない存在でした。しかも今年12月に引退することが発表され、あと2か月もすると見ることの出来ない車両になってしまうのです。

 しかし、今回旅行会社の企画で上野駅まで上京してくれることになり、その情報を聞きつけて上野駅まで行ってみることに。私としては一目見ておきたかった新幹線だったので、ワクワクした気分で上野まで乗り継ぎました。

地下に溶け込む漆黒の新幹線

 上越新幹線の終点より一つ後ろの上野駅。新幹線ホームは地下にあります。

 今回の現美新幹線の上京ダイヤはかなり早朝に組まれており、6時台に新潟を出発、8時8分に上野に到着し、18分後の26分に再び新潟に向けて出発するという行程になっていました。この「団体437号」が現美新幹線です。

 私が上野駅に到着したのは7時50分くらいの時のこと。駅のホームには現美新幹線の旅行グループの方たちが集まっており、ホームでは駅員が配備されるなど、明らかにいつもと違う雰囲気を漂わせていました。

 到着直前になると凄い人だかりとなり、先頭部が停車する箇所は既に人でいっぱい。少し引いて待つことにします。

 そして来ました!漆黒の新幹線「現美新幹線」です!その真っ黒な車体と花火のカラーリングがかっこいい!

 新幹線の車体をキャンバスに見立てて、花火の写真をデカデカを印刷するという、もはや車両そのものが“作品”。写真では何度か見ていましたが、こうして実際に目にしてみるとめちゃくちゃかっこいいです。

 人出がすごいので先頭を撮るのに苦労するだろうと考えていましたが、今回撮影に来た人はマナーの良い方が多く、スムーズに先頭を撮影することが出来ました。東海道新幹線と比べて柵がない、というのもあるのでしょうが、こうして安全に快適に撮影できるのはいいものです。

 また、黒一色がベースの車体であるので、見る角度によって色合いも異なってくるのも印象的。眺めていて飽きない新幹線です。

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外から車両と車内を眺める

 今回は車両の中には入れないので、外からじっくり車内を観察することに。

 まず見るべきは黒光りする先頭車。全面黒の新幹線などこれまでなかったので、相当なインパクトを放っています。塗装自体はシンプルなので、先頭のライトの存在感が半端じゃないです。シンプルな塗装がE3系のデザインの良さを引き立てていますね。

 先頭車の側面には「現美」の文字を模したロゴマークが。「現美」の形を残しながらも、しっかりとアートになっているのがたまらないです。

 中間車も見てみましょう。現美新幹線の一番の特徴はその黒い車体に派手に印刷された花火の写真。有名写真家である蜷川実花氏の作品で、新潟県長岡市で撮影された花火が夜色の車体を彩ります。

 こうして写真を見返してみると、先頭車には沢山の人が撮影をしに集まっていましたが、中間車にはあまり人がいないことが分かります。ちょっと寂しいですね。現美は車体に映し出す花火こそ魅力的なのに。上野の地下で長岡の花火を独り占めです。

 現美新幹線のコンセプトは「世界最速の美術館」。車内にはもちろん有名アーティストによる作品が所狭しと展示されています。

 車内はまさに美術館のようなレイアウトとなっており、のんびりと作品を鑑賞できそうな内装になっていますね。ただ、鑑賞者本人はあまり動くことがないのか、椅子や机がしっかりと据え置かれていることが特徴です。

 最後尾の16号車にはモニターも。秋田新幹線の線路でしょうか? 電車の前面展望が映し出されています。

 上野駅のホーム位置からはあまりよく見えなかったのですが、キッズスペースもチラリ。こちらは「パラモデル」というアーティストが担当するエリアです。プラレールのレールを使った幾何学的芸術作品が飾られています。

 東京方先頭の11号車は指定席の座席者。元E3系こまちのグリーン車でその座席がそのまま流用されています。座り心地が良さそう。

 シートは現美新幹線のコンセプトに合ったものに張り替えられています。

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人気者同士の離合

 現美新幹線が停車していたのは島式ホーム。もちろん現美新幹線以外にも沢山の列車がいつも通りの運行をしているため、JR東日本の車両が現美のそばを停発車していました。

 その中でもぐっと来たのがこちら。現美の隣にE3系こまち色が入線してきたシーン。

 秋田新幹線撤退後、E3系の一部は山形新幹線に移ったほか、今回のR19編成のようにジョイフルトレインに改造されたケースもありますが、その中には2編成のみこまちの塗装のまま東北新幹線でE5系の付属編成として活躍している車両もあるのです。

 普段は上越新幹線での運用のために東北の新幹線とは並ぶことがないE3系現美新幹線。こういう上野遠征という特別な場で新旧塗装の競演が叶ったのは上レしいものです。

駅員さんに見送られて発車

 また、今回上野駅まで現美新幹線がやってきたこともあり、駅員が専用の横断幕を用意していました。「LAST RUN」の専用のマークも用意されています。それだけ注目され、愛されてきた新幹線だということなのですね。

 ホームでは駅員さんがこのようなお土産を配っていました。デフォルメされた新幹線のキャラクターが印刷されたペーパーです。おしゃれな折り紙付き。このようなお土産も珍しい列車のイベントならではですね。

 そうこうしているうちに出発の時間に。現美新幹線は新潟へと旅立っていきました。R19編成にとって久ぶりの東京。懐かしいE3系こまちとの再会もあり、思い出のある旅になったでしょうか?

 以上、上野駅での現美新幹線の見物録でした!

 本当に美しい新幹線でした。特に美術館になっているだけとあって一度は乗ってみたかったのですが、その機会は結局できず…。それでも最低限その姿を見ておきたいと思っていましただけに、今回こうして上野でその車体を見ることが出来たのはとても嬉しかったです。冗談抜きで停車から発車までドキドキが止まらなかったものです。

 それでは今回もお読みいただきありがとうございました!

おまけ

 今回取り上げた現美新幹線。元はE3系こまち(R19編成)だと書きましたが、こまち運用についていたころの写真が見つかったので、記念に載せておきます。

 2013年の5月2日に東京駅で撮影したものです。この白とピンクの車体があのような黒の車体になってしまうとはこの時は想像もつきませんでした。世の中何が起こるか分からないものですね。

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